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2007年6月

2007年6月29日 (金)

第11話 by 斎藤ふみ

あのときの米田の思いもかけない一言に、史江は飛び上がるほどにびっくりし、思わず胸元の手裏剣を投げつけるところだった。それをぎりぎりの理性で押しとどめた。そう、史江は、忍者だった。

 都会派忍者としていき続ける史江は、まだ十代で未熟なだけに、ところどころで忍者としての自分が出てしまう。今も天井から様子を伺いながら、米田の言葉に反応して思わず降り立ってしまったのだ。そう、忍者としていき続ける史江は決して忍者だと悟られてはいけないのに。史江が本に挟んでいたもの。それは、次の指令が書かれてある、重要な紙だった。そしてそれは史江のこれからの忍者としての人生を、大きく左右する内容だったのだ。せっかく米田からそれを奪ったのに、ここでばれてしまうわけにはいかなかった。

「ばかね。ずっと前からあの角の席で、お好み焼き食べてたのよ。米田くんが気付かなかっただけでしょう?ねえ、大将。」史江は大将の目をじっと見て、ゆっくりとウインクをした。秘技「思い込みの術」だ。

「ああ・・・ずっといたよ。史江ちゃんはそこにずっといた。」大将は目をくるくるさせながらそう答えた。だが、その大将の様子の変化には米田は気付かなかった。

「そっか。ならいいんだ。それにしてもお前、ときどきびっくりするほど気配を感じないことがあるよな。
なあ、それはそうと、あいつら何してるんだろうな」

「ふふふ、気になるの?・・・でも何か、おもしろそうよね。」

米田と史江は二人の様子をそっと見つめた。

2007年6月 6日 (水)

第10話(by 米岡誠一)

「うーん、開けようかな?どうしようかな??この手紙。俺へのメッセージなのか。それともうっかり本に挟んでいたことを忘れていたのか・・・」

米田は大好物のお好み焼き・ミックス玉を口に頬張りながら悩んでいた。

「どうしたと?ボーっと考え込んで。女の子からのラブレターか?」
「お好み焼き・てぼ」の大将がからかうような笑顔で米田に話し掛けた。

「そんなんじゃねぇよ。でも・・・そうなのかな・・・う〜ん」

米田はミックス玉の最後の一口を口に運ぶと「大将、計算して」そう言って千円札を差し出した。
「そろそろヅラかるわ。って誰がヅラ借るやねん!地毛やっちゅーに!!」
「はい、おつり」大将は聞き飽きたギャグに眉ひとつ動かさずにおつりを手渡した。
「ノーリアクションかよ!」そう言って米田が店を出ようと踏み出したその時・・・

「あれっ山本?何であいつ、こんな所で突っ立っているんだ?」

そう言って声を掛けようとした時、米田の視線の端に渕田の姿が映った。

「えっ?なんで?あの二人がこんな所で・・・」

「そうよね〜びっくりよね〜」

「おっおまえ!いつの間に俺の後ろに!!」

米田が振り返ると、そこには佐藤史江が奇跡の八頭身で立っていた。

「お前は忍者か!!」