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2007年9月

2007年9月10日 (月)

第13話  by butch

友子の脳裏に、あの日の記憶がまざまざと甦った・・・。
それはまだ男の味を知らぬ清らかな身だった頃の少しだけ痛みを伴った出来事だった。
市内別府にある「一本どっこ流」忍者教習所くの一教室に通う道すがら、
友子は只ならぬ「気」を感じて足を止めた。
振り返ると、昨日まで確かにそこに無かった場所に、突如として現れたのは何と!!!
土俵だった!しかも身の丈2m、体重も軽く100�は超えているであろう大男が鬼気迫る形相で四股を踏んでいるではないか・・・。
泥まみれの全身から漂う殺気にも似た妖気にただただ友子は立ちすくむしかなかった。
まだ顔つきに幼さを残すその男の額からはボトボトと汗が正しく滝のように迸る。
友子は一瞬にして心の臓を鷲掴みにされたかの様な感覚にとらわれた。
この痺れるものは何なのだろうか?友子はまだ恋に落ちたのだと気づくはずも無かった。
初恋だった。
友子はフラフラと土俵に近づくと、その大男に声をかけた。

「あの・・・。」

次の瞬間だった!

自らの宇宙に異者の存在を感じた大男は、
本能の領域から来る反射的な身のこなしで友子に張り手をくらわせたのだ!
一撃の下、友子は吹っ飛んだ。
失せ行く光と迫り来る闇の中で友子は弱々しく訊ねる。

「あなたの名前は・・・?」

大男は体に似合わぬ高い声で答えた。

「昼青龍」

後の大横綱である。