「男女4人ラジ★ゴン物語」_ Feed

2008年7月10日 (木)

第16話  by 山田優子  

渕田と友子は裏路地をゆっくりと歩いていた。
友子はなかなか話を切り出せず時間ばかりが過ぎていく・・・。

気がつけば、2人はすっかり夜の闇に包まれていた。

「で、相談って何?」 口を開いたのは渕田だった。

「う・・・うん・・・」

よし、こうなったらイチかバチかストレートに聞いてみよう。
でも、もし違ったら・・・友子は胸に隠していた手裏剣をもう一度確認しつつ声を出した。

「あ、あのさ・・・渕田君の出身ってどこだっけ?」

「はぁ?なんでそんなこと聞くんだよ!」

「やっぱりダメか・・・」 思わず友子は呟いた。

「は?なんか言った?」

「い、いや、ゴメン。特に理由は無いのよ・・・」

「用が無いなら、オレ、帰るよ」

「あ、待って。実は私・・・おすもうさんになりたいの」

「・・・はぁ?オマエ何言ってんの?」

2人の後をつけていた米田もひっくり返った
「山本・・・何言ってんだ?」

思わず出た言葉に友子自身も驚いた。
私・・・昼青龍さんのこと・・・意識しているのかな・・・

そんなことを思いつつ、ふと我に返った友子は、あわてて言葉を続けた。

「あっ、それで運動神経抜群の渕田くんだったら、稽古つけてくれるんじゃないかと思って・・・。」

「ちょっと待って!なんでオレなの?第一オレ、相撲経験ないんだけど・・・」

「あっ、いいの いいの。 ただ一緒に走ってくれたりトレーニングコーチになってもらえたら嬉しいな〜と思ってさ・・・」

「それって、オレ、何か得することあるの?」

「ん〜・・・ナイ・・・」

「・・・」

断られる・・・と思った友子は慌てて続けた。

「学校のマドンナ、香織ちゃんを紹介して・・・

友子が言い終わる前に渕田は口を開いた。

「ったく、その代わり、オレのトレーニングについて来れなかったら、すぐに止めるからな!」

マドンナ効果テキメンである。

「うん、うん、ありがとう! いつから教えてくれる?」

「じゃあ、来週からだな」

「さんきゅう〜。恩にきります」

「じゃ、帰るよ」

「うん。ばいば〜い」

渕田がバスに乗るのを見届けて、友子はフッっと笑った。

「よし、これで渕田君が何者なのか分かる」

その言葉を米田は聞き逃さなかった。
そして・・・その様子を頭上、はるか上から史江が伺っていることには誰も気づかなかった。


2008年6月17日 (火)

第15話  by 斉藤ふみ

ふみ江はビルとビルの間を飛びながら、手にはしっかりとあの紙を握りしめていた。

「そう、これさえあれば、すべては解決する。」

ふみ江はこのことが解決したら、祖父が住む山へ帰ろうと思っていた。いくら都会派とはいえ、この町は発展しすぎてしまった。ビルはどんどんとその高さを増し、鳥もふみ江の下を行くほどだ。この高さのビルを飛び越えて行くのも簡単では無くなっていた。

夕焼けに染められながら、ふみ江が帰路を急いでいると携帯がなった。

「もしもし。」

「・・・はふぅ。はふぅ。」

「もしもし?」

「ぶふう、ぶふう。」

「もう、なによ荒い息で。落ち着いてから電話してよ・・・・・お 兄ちゃんね?」

「ごっつあんです・・・ぶふうすっ。」

そう。電話は、稽古を終えたばかりの兄、昼青龍だった。
兄は生まれた時から大柄で、生後三ヶ月でお肉を食べるという胃腸 の丈夫さで皆の度肝を抜き、そのまま食の勢いは留まることを知らず、十歳で 百キロをこえた。父はそれでも忍法を教え続けたが、ある日昼青龍 は突然相撲取りになことを宣言したのだ。

物陰に隠れても、必ず身体の半分がはみ出し、すいとんの術を使い たくて水に潜っても浮いてくる。建物の間はもちろん、跳び箱3段 も飛び越えられない。

そんな兄は、特別待遇で、都会派忍者で初めて力士になることを許 されたのだ。

「お前、あの子は見つかったのか?」

「まだよ。でも大体の予想はついてきた。お兄ちゃんが突き飛ばし た、あの子ね。」

「あの身のこなし。あの子は絶対に忍者だった。」

「がんばって探してるわ。その子がもしも違う流派の忍者なら・・・」

「ぶふうっっっっ。ぶふうっっっ。」

「お兄ちゃん、興奮しないでよ。もう、すぐ息があがるんだから。とにかく、もう少し待って。お兄ちゃんはしっかりと稽古に励んでね。」

兄、昼青龍との電話を切ったあと、月が浮かんだ濃紺の空を見上げ ながら、ふみ江はある人の顔を思い浮かべていた。

2007年10月27日 (土)

第14話  by 米岡誠一

友子は渕田にどう切り出すか迷っていた。

「ねぇ、渕田君。お相撲さんって髷が結えなくなると引退なんですってね。
じゃ、じゃあ米田君はお相撲さんにはなれないわよね」
「は?何言ってんだ?」
「あ・・・いや、そうじゃなくって・・・渕田君のその運動神経、野球以外に何かやってるの?」
「別に。ただ・・・」
「ただ・・・何?何なの?」
「おまえ最近太った?」

友子は思わず胸に隠し持っていた手裏剣に手をやった。

「冗談だよ、冗談」

渕田は大笑いしながら歩き始めた。
友子も少し遅れて渕田の後をついてゆく。


「誰が『相撲取りにはなれない』だよ、別にそんな気ねぇよ」

史江と「てぼ」の中から2人の様子を伺っていた米田がぼやいた。

「なぁ、どうする?あいつらの後、追いかけるか?」

そういって米田は後ろを振り返った。
しかし既にそこには史江の姿は無い。

「あいつ本当に忍者みたいだな」

そう言った米田のポケットから例の手紙は消えていた。

2007年9月10日 (月)

第13話  by butch

友子の脳裏に、あの日の記憶がまざまざと甦った・・・。
それはまだ男の味を知らぬ清らかな身だった頃の少しだけ痛みを伴った出来事だった。
市内別府にある「一本どっこ流」忍者教習所くの一教室に通う道すがら、
友子は只ならぬ「気」を感じて足を止めた。
振り返ると、昨日まで確かにそこに無かった場所に、突如として現れたのは何と!!!
土俵だった!しかも身の丈2m、体重も軽く100�は超えているであろう大男が鬼気迫る形相で四股を踏んでいるではないか・・・。
泥まみれの全身から漂う殺気にも似た妖気にただただ友子は立ちすくむしかなかった。
まだ顔つきに幼さを残すその男の額からはボトボトと汗が正しく滝のように迸る。
友子は一瞬にして心の臓を鷲掴みにされたかの様な感覚にとらわれた。
この痺れるものは何なのだろうか?友子はまだ恋に落ちたのだと気づくはずも無かった。
初恋だった。
友子はフラフラと土俵に近づくと、その大男に声をかけた。

「あの・・・。」

次の瞬間だった!

自らの宇宙に異者の存在を感じた大男は、
本能の領域から来る反射的な身のこなしで友子に張り手をくらわせたのだ!
一撃の下、友子は吹っ飛んだ。
失せ行く光と迫り来る闇の中で友子は弱々しく訊ねる。

「あなたの名前は・・・?」

大男は体に似合わぬ高い声で答えた。

「昼青龍」

後の大横綱である。

2007年7月11日 (水)

第12話  by 山田優子

友子は渕田にどう話そうか迷っていた。

敵か・・・?味方か・・・?

野球部で活躍する渕田は人並み外れた能力があり「普通の人間ではない」事は分かっていた。

渕田か・・・?

いや・・・振り向くといつの間にかそこにいる俊敏な動き、そして何よりあのライダーキック・・・
あれは人間業ではない。

史江なのか・・・?

しかし最後に友子が賭けに出た相手は米田だった。
米田のあの身のこなし・・・
あの本を渡してからも迷っていたが、史江のライダーキックを受け宙を舞う米田の姿を見て自分の判断は間違っていなかったと確信した。

あれは「一本どっこ流・忍法受身の術」

もし米田が「その者」なら本に書かれた暗号を解読し、手紙に記された地図から「秘伝の書」を見つけ出せるかもしれない。

そう、友子も現代に生きる忍者だった。

そして今、自分が属する「一本どっこ流」が生き残るには「秘伝の書」を手に入れるしかなかった。
また、その「秘伝の書」を探しているのは自分だけではない事も知っていた。
誰よりも先に「秘伝の書」を探し出さなければならない・・・
それが田舎派忍者・山田友子が受けた指令だった。

都会に姿を隠している「一本どっこ流」を受け継ぐ者は米田に違いない。

ここまでは順調に進んできた。
ただし友子は「ただ一つの掟」を忘れていた。

「恋をしてはいけない・・・」

2007年6月29日 (金)

第11話 by 斎藤ふみ

あのときの米田の思いもかけない一言に、史江は飛び上がるほどにびっくりし、思わず胸元の手裏剣を投げつけるところだった。それをぎりぎりの理性で押しとどめた。そう、史江は、忍者だった。

 都会派忍者としていき続ける史江は、まだ十代で未熟なだけに、ところどころで忍者としての自分が出てしまう。今も天井から様子を伺いながら、米田の言葉に反応して思わず降り立ってしまったのだ。そう、忍者としていき続ける史江は決して忍者だと悟られてはいけないのに。史江が本に挟んでいたもの。それは、次の指令が書かれてある、重要な紙だった。そしてそれは史江のこれからの忍者としての人生を、大きく左右する内容だったのだ。せっかく米田からそれを奪ったのに、ここでばれてしまうわけにはいかなかった。

「ばかね。ずっと前からあの角の席で、お好み焼き食べてたのよ。米田くんが気付かなかっただけでしょう?ねえ、大将。」史江は大将の目をじっと見て、ゆっくりとウインクをした。秘技「思い込みの術」だ。

「ああ・・・ずっといたよ。史江ちゃんはそこにずっといた。」大将は目をくるくるさせながらそう答えた。だが、その大将の様子の変化には米田は気付かなかった。

「そっか。ならいいんだ。それにしてもお前、ときどきびっくりするほど気配を感じないことがあるよな。
なあ、それはそうと、あいつら何してるんだろうな」

「ふふふ、気になるの?・・・でも何か、おもしろそうよね。」

米田と史江は二人の様子をそっと見つめた。

2007年6月 6日 (水)

第10話(by 米岡誠一)

「うーん、開けようかな?どうしようかな??この手紙。俺へのメッセージなのか。それともうっかり本に挟んでいたことを忘れていたのか・・・」

米田は大好物のお好み焼き・ミックス玉を口に頬張りながら悩んでいた。

「どうしたと?ボーっと考え込んで。女の子からのラブレターか?」
「お好み焼き・てぼ」の大将がからかうような笑顔で米田に話し掛けた。

「そんなんじゃねぇよ。でも・・・そうなのかな・・・う〜ん」

米田はミックス玉の最後の一口を口に運ぶと「大将、計算して」そう言って千円札を差し出した。
「そろそろヅラかるわ。って誰がヅラ借るやねん!地毛やっちゅーに!!」
「はい、おつり」大将は聞き飽きたギャグに眉ひとつ動かさずにおつりを手渡した。
「ノーリアクションかよ!」そう言って米田が店を出ようと踏み出したその時・・・

「あれっ山本?何であいつ、こんな所で突っ立っているんだ?」

そう言って声を掛けようとした時、米田の視線の端に渕田の姿が映った。

「えっ?なんで?あの二人がこんな所で・・・」

「そうよね〜びっくりよね〜」

「おっおまえ!いつの間に俺の後ろに!!」

米田が振り返ると、そこには佐藤史江が奇跡の八頭身で立っていた。

「お前は忍者か!!」

2007年5月 8日 (火)

第9話(by Butch)

「さっき米田から電話があってさぁ」
「えっ、ああ」
「抜け毛がすごくてへこんでる」
「え?」
「ハハハっ、そりゃいつものことか。じゃなくってお前、米田に渡した本の中に手紙差し込んでただろ?」
「うん・・・。」
「何だか恐え〜ってまだ開けてねぇってさ」
「そう・・・なんだ」
「それと米田が史江に蹴り入れたときに、チラッとだけど”なめ猫”のカードみたいなものが見えたって言ってたけど、ありゃなんだ?」
「え?なめ猫?でも、彼女最近やっと族から抜けれたって聞いてたんだけど」
「性根はそう簡単に変わらんだろ。卒業式前には教頭と担任にお礼参りするっつってたぜ。で?手紙となめ猫、どうなってんだ?」
「あ、あの、私・・・実は、渕田君に相談したいことがあるの。今から会える?」
「おいおい、いいのか?俺と会って。またいつかみたいに・・・。」
「それは言わないで!」
「ふふ、ごめん。いいよ。じゃ、例の所で」
「わかったわ。お好み焼き”てぼ”の裏路地ね。」
「じゃ、待ってる」
「ありがとう」
「米田には言うなよ」
「わかってる・・・」

2007年4月12日 (木)

第8話 (by山田優子)

う〜ん。米田君にあの本を渡したのは間違いだったのかなぁ・・・
いっそのこと渕田君に渡した方が・・・。

家に帰ってからも友子はぐるぐると頭の中で考え込んでいた。
いくら植毛の事で頭がいっぱいの米田君でも、あの手紙に気付かないわけがない。
でも・・・でも・・・思い切って史江に相談してみようか?
きっと史江の事だからいい解決法を見つけてくれるはず。
でももしかして史江も・・・!?
史江がすばやく取り出した「アレ」は間違いなく友子にも見覚えがあったのだ。
ああっどうしよう・・・

トゥルルル〜 トゥルルル〜♪
「うわぁぁぁぁっ!」あまりにも突然の電話の音に友子はイスから転げ落ちてしまった。

「も、もしもし・・・?」やっとの思いで受話器をとると

「あ、俺、渕田だけど・・・」

「えぇぇっ!渕田くん?」

マライア・キャリーもびっくりの7オクターブのこえで答えた。

2007年4月 3日 (火)

第7話 (by斉藤ふみ)

「その本、待ったぁ。」

史江は、間違いなくここ数年で一番速い速度で走りながら米田めがけて走っていた。

アレがもし誰かの手に渡ったりしたら、ずっと隠してきた史江の計画が台無しになってしまうからで、大人になってその夢が達成されるまで史江は誰にもそれを知られたくなかった。

史江はあと一歩で米田に届こうというところで地面を蹴り軽くジャンプをした。

「ライダーキックッ!!」

「うげエッ。」

史江の得意なキックが見事に決まり米田は宙を舞っていた。そして米田が友子から受け取った本はその拍子に史江の手にスッポリと収まっていた。

「はあ、危ない危ない。ごめんね友子、びっくりしたでしょ? 私大切なものを本に挟んでおいたの忘れててそのまま友子に本返したの。うっかりしてて。・・・ああ間に合ってよかった。」

史江はパラパラとページをめくり、挟んでおいたアレを素早く取り出した。その瞬間、別のページにもうひとつ何かが挟まっているのを確認したけれど、史江はそれには気付かないふりでパタンと閉じた。

「史江なにか挟んでたの?私こそごめん。全然気付かなかった。」
友子はクスクスと笑いながら史江から本を受け取った。そして立ち上がった米田に再び、さりげないしぐさでその本を渡した。

「いってぇなぁ。史江、それやめろって言ってるだろう?なんでそんなに綺麗なのにお前、そうなんだよ。もう少し女らしくしないと、彼氏が出来ても愛想つかされるぞ。」

「ほっといてよ。こんなんで振るような人、こっちからお断りよ。それより米田くんにその本の深みが理解できるとは思えないけど。まあせいぜい時間かけて読むのね。まったく、友子がなんで米田くんなのか私にはわからないわ。」

「もうっ、そんなんじゃないんだってば」
友子は顔を真っ赤にして叫んだ。

「そう?じゃあね、私急ぐから」
史江は、キックのときに飛んでしまった靴を取りに行き、そのまま後ろ手に手をふって校舎のほうへ戻っていった。

「あいつも誰かにチョコレート、渡すのかなぁ。」

振り返りもせずに歩いていく史江をみながら、淵田がぽつりと言った。

「しらねえ。あいつ、絶対、前世男だ。」

友子は、二人の話にうなずきながらも、米田が握っている本のことで、その中に挟まっている手紙のことで、頭がいっぱいだった。